新着情報
2025.01.23
情プラ法でパブコメ
情プラ法でパブコメ
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等に関し、下記のとおり意見を提出しました。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
意見・全体について
権利侵害の問題について、個人や団体、当事者・支援者なども含めた市民社会が、この解決に向けて活動してきた。法務省や総務省、地方自治体なども、市民社会に寄り添い、事態の打開のために取り組みをすすめた。プラットフォーム事業者も、できる限りの対応で、解決に挑んでいる。あらゆる主体が権利侵害情報をなくすために努力している。市民社会、行政、事業者のだれもが、ネットでの権利侵害を無くすことができるよう、願っているはずだ。皆、同じ思いで、健全な社会建設のために取り組んでいる。
だが、法的な取り決めなしに、根本的な解決は難しく、情報流通プラットフォーム対処法ができた。(2)のガイドライン案で侵害情報調査専門員を「弁護士等の法律専門家」とすること、第26条ガイドライン案で「個別法の規定で差止請求が認められる場合」など示され、このような具体的な取り決めがあれば、事業者も発信防止措置が取りやすくなる。個人の権利侵害には、効果が期待されるところだ。これまでの取り組みを支持し、さらに強化・発展させるために協力する立場で、今回示されたすべての案に賛同する。そのうえで意見したい。
差別など「悪意ある情報」の課題で言えば、これまではその解決のために裁判がおこなわれ、被害回復での判断がなされたが、時間的・経済的な負担が大きかった。今後、憲法や国際人権法、個別人権法などをもとにして、事業者で配置される侵害情報調査専門員が、最終的な判断をすることとなる。この点では、(3)の第26条に関するガイドライン案では、「条理上の義務があると認められる場合」があると根拠づけ、事業者が送信防止措置を果たすべきだと示している。
この法律の付帯決議では第三者機関を設け、判断について事業者を助ける仕組みの必要性が示された。差別の課題は一律な基準を設けて線引きして対処することは難しい。ケースによっては、侵害情報調査専門員が「より詳しく事情を知りたい」と希望することもあるだろう。今、第三者機関はできていないため、当事者団体のほか、当事者支援の専門家や当事者に近い学識経験者、当事者に寄り添った対応をする行政など、当事者を中心に置きながら活動する各種機関への相談を、ケースごとに実施する必要性がある。事情をよく知る相談先の紹介があれば、判断に困った侵害情報調査専門員も、安心して支援をうけることができる。
例えば、(2)のガイドライン案では、各事業者の侵害情報調査専門員がどのように判断するかで、事業者間での対処が違ってくる。特に、地域性のある部落差別の課題では「何が部落の地名にあたるのか」、地元でしか判断できない場合もある。地元の都道府県などとの対話・相談など、産官学民の各種機関で連携して乗り越えることができないか、模索するべきだ。「識別情報の摘示」の削除を求め、当事者も地元行政なども経験を積んできた。事業者と関係機関との対話で、相互理解が可能となるはずだ。
総務省はその点で、事業者と関係機関の間をとりもつなど調整するべきだ。これを国の役割として省令やガイドラインに盛り込むことを求めたい。実際に判断をおこない、発信防止措置を実施する事業者を、市民や行政等で支えなければ、侵害情報への対処はすすまない。被害の回復の第一歩は、まぎれもなく侵害情報の送信防止措置である。事業者がこれを実施しやすくするために、対話しながら取り組みをすすめ、事例を積み上げて実効性を高めなければならない。
今後は、課題を乗り越えていく運用のプロセスが重要となってくる。工夫には際限がない。各々で知恵を出しあって、できる対策を順次、講じていき、ネットでのあらゆる権利侵害の課題を解消していくべきだ。事業者が積極的に対応できるよう、関係機関との連携や協議を盛り込み、取り組みを促進させる省令・ガイドラインとなっているか、今一度、再考されたい。