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2025.05.01
解放新聞京都版1299号3面「多様なテーマで学びを深める 人権啓発研究集会in橿原」分科会報告について
解放新聞京都版1299号3面「多様なテーマで学びを深める 人権啓発研究集会in橿原」分科会報告について
解放新聞京都版1299号3面で、第39回人権啓発研究集会の分科会報告を掲載しました。主催の第39回人権啓発研究集会実行委員会から、第1分科会の記事の一部訂正を求める連絡がありました。
記事を読んだ講師から、読者に誤解を招く可能性のある表記が一部あるので、2箇所について訂正対応いただきたいと、リクエストがあったものです。
①自らのセクシュアリティが<普通>でないと気づき
⇒自らのセクシュアリティが社会における<普通>とは違うと気づき
②「生きるのがしんどければ隠れてしまえばいい」
⇒「話しづらいと感じる人がいるなら、話せるような環境を整える・作っていくことが大切」
これを受け、書き換えた記事を掲載します。
「多様なテーマで学びを深める 人権啓発研究集会in橿原」分科会報告
〈謝罪〉で差別はなくならない 分科会1
分科会1では、東京外国語大学教員の梁英聖さんが講演し、公的な場やネット上での発言が差別だと批判された人が「不適切でした」と謝罪する〈日本型謝罪〉を批判した。
日本では、差別を内面の問題ととらえる傾向がある。差別者は自らに差別意識があったと認めて謝罪することで事態に対応しようとする。差別してはいけない理由は「差別された人が傷つくから」。「差別する意図はなかった」と弁解し、被害者に寄り添う姿勢を示す差別者を、人びとは赦してしまう。「これでは差別はなくならない」。差別をなくすには、加害者の差別行為を客観的に認定し、禁止しなければならない。梁さんは、米国のNBAコーチが会見でチームの話題をそっちのけにして銃乱射事件に言及し、銃規制の必要性を激烈に訴えた動画を紹介する。必要なのは具体的な被害をいかになくすか。そのための行動変容なのである。
反レイシズムの立場で、反差別ルールの明確化の必要性も説いた梁さん。最後に改めて訴えた。「謝罪なんてどうでもいい。大切なのは差別の社会的影響を食い止めること」。
ほかには、一般社団法人「にじーず」スタッフの中村なぎさんが、セクシュアルマイノリティの子どもたちの居場所をメタバースに創出する取り組みを報告した。自らのセクシュアリティが社会における<普通>とは違うと気づき、対面の人間関係に怯え、生身の自分を生きることに困難を感じている子どもたちにとって、アバターに変身して過ごせるメタバース空間には安心感がある。「話しづらいと感じる人がいるなら、話せるような環境を整える・作っていくことが大切」と中村さん。この居場所での穏やかな時間が、子どもたちの成長にどのような好影響をもたらすのか。今後の取り組みが注目される。
大阪教育大学名誉教授の森実さんは、部落解放運動が実践してきた識字運動の意義を振り返り、単なる「読み書き」の学びにとどまらない識字の多様な未来に期待を示した。